有元利夫展②
欠けているということで 欠ける前より
より強く在るというようなこと
そんな言葉が掲げられていて
何度も反芻しては 繰り返し 衝撃を感じていました
ざっくりと欠け落ちて
埋めようのない穴にとらわれていた日々には
そんなふうに思えたことは一度もありませんでした
けれど 欠けていたからこそ
差しのべられた手や 降りそそがれた光があり
私はそれらによって相当 補完されていた
そのことをおもいました
うつくしい世界でした
この青を胸にいだいていこう・・・
いとおしく すがすがしい青に おもいました
彼の描く人々は
とりたてて愉快そうな顔もしていないのですが
絶望もしておらず
静かに昂揚し
至福に満ちて
その時の中にあるように見えます
さりげなく
なにものかを育みながら
物語は これからはじまるのだと
あるいは
すでにはじまっているのだと