2014年3月15日土曜日

映画「樹海のふたり」

お笑コンピ・インパルスの二人が主演ということで気になっていた「樹海のふたり
山口秀矢監督と山﨑裕カメラマンのトークもあるということで観に行ってきました
(新潟シネ・ウインドにて21日まで上映)


作品もさることながら、トークを聞けたのがとてもよかったです (以下、ネタバレあります)

テレビの番組制作の仕事をしてきた山口監督が、病気を経て人生を思索する中で、本来やりたかった映画を作るということを復活の契機にすると決意した話、そこから実現までのいきさつ

74歳を超えてタフであり続ける山﨑カメラマンの人生観
自身の想いを語るなどはあまり好まない方のようでしたが、是枝裕和監督の「ワンダフルライフ」や「誰も知らない」を撮った人だと聞けば、うわ、この方ですかと、言葉より仕事から感じるものが多々あったり・・・

とにかくおふたりはかっこよかった!

脚本の土台となった実在のテレビディレクターの方については、プライベートに配慮しながら(その後についても少しだけ) 触れておられましたが、ともかく実直で誠実で、悩み葛藤しながらその仕事をしていたということを、映画の中でもテレビ業界内の問題のひとつの側面と絡めて表現しておられたし、トークでも再三おっしゃっていました

映像業界で生きてきた4人の方々の人生の一端、それも真髄の部分を、少しだけ垣間見させていただいたような感があり、映画からのメッセージだけでなく、別の重みも感じることとなったように思います


今回の上映及びトークショーは、自殺率の高い新潟県において自殺防止の活動をしている新潟県弁護士会・新潟市薬剤師会と新潟市が連携した新潟NPO協会の勉強会の一環としての企画でもあり、上映前にはその取り組みの呼び掛けもありました

劇中、「何故、樹海にはまってしまったのか」そんなセリフがありましたが、「人生は樹海みたいなものだ」と答えます。だれもが迷いながら「答え」という出口を探して生きているようなものだと・・・ そうかもしれません

山﨑カメラマンは、出ようとしなくてもいいんじゃないか? そこに居て、生きていればいい、ともおっしゃいました・・・ それもまた、そうかもしれません

これだ、と思うものを愚直に続けることと、その時与えられた状況を耐えたり何かでごまかしながらも取り組むことは、全く違う事だと思ってきましたけれど、重なる部分もあるかもしれないと思いました

深く広い樹海の中にあっては大差の無いことかもしれません

どちらも生きているということです


映画はあえて自殺予防を打ち出したつくりにはなっていません
樹海に自殺をしにきた人を取材し止めること、その後についてはなんの責任も持てない自分たちを思えば、それはその人にとってよかったのかどうか、と葛藤するシーンもあります
でも監督は、明確な「実感」のもと 「自殺はルール違反である」 と
そして「樹海は死の世界ではなくむしろ生に充ち溢れた世界だった」 ともおっしゃいました

映画で表現されていたことも、死のかたちではなくむしろ生のかたちであったと思います

救えなかった命のことも描きながら、それぞれの弱さや悩みを抱えながら生きて行く姿
やっと見えた希望があっさり打ち破られもするけれど、また次の光が射すことを諦めない。。。
そんな風景が淡々と描かれていました




◆余談ですが
監督がインパルスの二人を主演に起用するまでのエピソードがまたよかったです
私、インパルスの板倉さんというのは妙に目が離せないひとで・・・ 今ではめっきりお笑い番組も観なくなり、最近の活躍なども知らなかったのですが、だからこそ観たかったというか・・・
監督と板倉さんの出会いは、不思議なちからが「呼び合った」ものだったとのことですが、私は板倉さんに呼ばれた感じかな♪ 監督が板倉さんや「インパルス」という芸人のクリエイターとしての質を褒めておられたのが、ちょと嬉しかったです (。-_-)

そしてもうひとつ、「呼ばれたかも」 と思ってうれしくなったことは、後日 監督のブログ(撮影記日) を読んで知ったことですが、エンディングテーマ曲を唄うカズンにこんな素敵な曲が・・・

 「風の街」ですって☆

youtube で聴けます
http://www.youtube.com/watch?v=ari9Xtu9wUw

「街」の字はどっちにしようか悩んだところで、私は小ぢんまりとしたニュアンスの方の漢字にしたのですが、歌詞は・・・ 嗚呼。。。 素敵・・・
なんで今まで聴く機会がなかったのでしょう・・・ いい歌です
胸 きゅ 。。。

監督とカズンの最初のお仕事は、この歌だったとのこと
カズンもですが音楽担当の関口知宏さんはじめ、役者陣の方々についても、これまでの監督の仕事の縁が束ねられて、今回の念願の映画になったご様子・・・

それはまるで、樹海で迷ったディレクターのふたりが自殺しに来た人と出会って出口を教えられて助かる、という実話のシーンを思わせます

思わぬところで助け、助けられ
自分ではわからなかった出口が、誰かと伴ったことで見つかったり・・・
積み重ねてきたことの意味の発芽って、こういうことだよね! という希望のカタチ・・・

その先にも問題や葛藤はあるのだけれど
でもそれが生きるということだから・・・



とりとめなくなりました

この日、行けてよかったです

このところインプットが続いていたので
アウトプットしたいことがいっぱいです

まとまらないままですが
え~い!アップ