2014年9月3日水曜日

映画「ある精肉店のはなし」

春に観た『夢は牛のお医者さん』の流れでこの映画のことをちらっと書いておりましたが→ 
残念ながらその時は都合がつかず… 今度こそ万象繰り合わせの上!と気合を入れて

夏休みに合わせた「夢は牛の~」のアンコール上映に際し、「ある精肉店の~」もぜひ併せて観ていただきたい、
というシネ・ウインド支配人の想いもあって再上映されることになったとのこと
お陰さまで観ることができました☆ ありがとうございます!


改めて、ドキュメンタリーに勝るドラマはない、と感嘆させられる圧倒的な迫力でした

しずかな映像が魅せるうつくしさ
けっして単純な美化ではなく
むしろ牛や働くひとの息づかいがもっと荒い音や匂いとして伝わってくるような
五感に錯覚を伴うようなリアルの極地

様々な社会問題が背景にありながら
それらを主題とすることなく、主張しすぎることなく
(映画のパンフレットではしっかりと触れられています)
今日までの歴史の積み重ねとしての日々がたんたんと語られる

時代の変化は淋しいことだけではなく
いろいろな意味で解放されるものがあり、新たな挑戦があり
世代更新とともに芽生える希望があり

どれも一瞬のことではない、という
暮らしの重みと時代の奥行きがずしりと納められた108分


ちょうどお土産にいただいたキッチンクロスのモチーフが牛でした


誰のことも責めていない映画だったと思います

社会的なテーマを扱った作品では、
自分が享受しているものの功罪に居心地が悪くなることもあるものですが
(それが問題提起であり、自覚を促すという点で大事な部分であるとは思いますが)
この映画はなんとも余韻が爽やかで・・・
それが纐纈(はなぶさ)あや監督なんだなぁ。。。

もしもこの映画で「コラッ」って言われた気になるひとがいるとしたら
それは唯一
ちゃんと食べてちゃんと生きてないひと、かもしれません

前評判にあったような、取り立てて肉が食べたくなるということはありませんでしたが
より一層の感謝で襟を正したくなるような 
食べる時にはしばらくはあのシーンを思い出してしまうだろうな
むしろ忘れてはいけないのだろうな

いただいたいのちに恥じぬように、と言ったら大袈裟でしょうか

よく食べて、よく生きよう
と思う映画でした



祭りのシーンも印象的でした
太鼓を使わない、地域だけの盆踊りも
地域の誇りをかけて挑む勇壮なだんじり祭りも

根なし草には眩しかった

纐纈あやさん初監督作品 『祝(ほうり)の島』 も見逃したまま
とても観たいです



予告編を観て気になったのは
『人生はマラソンだ!』 (10/18~10/31 新潟シネ・ウインド上映予定)

今年の上映予定で逃したくないのは
『大いなる沈黙へ グランド・シャルトルーズ修道院』 (12/13~12/26 同上映予定)

ほぼ日で山伏の方がこの映画の感想を対談していたのが興味深くて、観たいなと

一年の締めくくりにこの映画とは、なんとも心にくい配分です
年の瀬、何を想うことになるのでしょう

この一年、よく生きました、と
やれるだけのことはやりました・・・と思います・・・ と
多少弱気混じりであっても^-^: 充ちたものを感じながら観れますように

あと4か月!